CTアーチファクトの低減・削除処理技術の説明

TomoShop®にはCTで起こりうる様々なアーチファクト・ノイズを低減・削除する機能が付いております。

リングアーチファクト、縦アーチファクトの低減・削除処理

フラットパネル型検出器が装着されたCT装置では、 再構成画像にリングアーチファクトや縦アーチファクトが生じる場合があります。これによりサンプルを正確に観察・評価することが困難になります。 リングアーチファクトの主な原因は、

  1. X線源の管電圧
  2. 検出器の画像積算枚数
  3. 被写体のサイズ等

で起こります。

TomoShop® は、リングアーチファクトの特性とボクセル間の3次元の関連性を利用する事でより高い精度でリングアーチファクトを効率的で的確に低減する機能を搭載しています。下図はリングアーチファクトを低減・削除する前と後の比較を表しています。

補正前

補正後

 

☟ ビデオ:TomoShopでリングアーチファクトを軽減

☞ リングアーチファクト

縦アーチファクトの低滅も可能です。

補正前

補正後

☟ ビデオ:TomoShop®でリングアーチファクトと縦アーチファクトの軽減

☞ 縦アーチファクト

検出器素子感度の不均一性、及び欠陥画素から発生するリング・縦アーチファクト対策

リングアーチファクト、縦アーチファクトが発生する問題は、検出器の素子に欠陥がある場合や受信感度の不均一性が原因となります。通常のリングアーチファクトは実際の撮影起動の中心とその中心が重なり合って発生しますが、あるリングアーチファクトはその中心が重なり合わない場合があります。これは実際のスキャン起動が円周軌道にならない誤差が生じている場合に発生するリングアーチファクトによく見られるケースで、これらのリングアーチファクトには従来用いられている低減方法では低減不可能な場合が多々あります。

TomoShopの低減機能は、再構成前に撮影画像の欠陥画素を検出すると同時に検出器の素子感度の不均一性を推定し、その推定情報を再構成時に利用する事により従来の手法では対応できないリング・縦アーチファクトでも確実に低減します。つまり欠陥画素情報と感度ばらつき情報を用いた手法では、事前情報を再構成に取り組むことにより、撮影軌道が円周でなくても有効にリング・縦アーチファクトを軽減することが可能となります。

画像の同心円上にない場所に存在するリングアーチファクトの低減

画像の同心円上にない場所に存在するリングアーチファクトは、実際のスキャン軌道に誤差があり、その形状が円周にならない場合に発生します。このリングアーチファクトには従来の低減手法では低減することが不可能となります。TomoShopの低減機能は欠陥画素情報と感度ばらつき情報を再構成時に利用する手法により、スキャン軌道が円周でなくても有効にそして強力にそれらのアーチファクトを低減することが可能です。

同心円上からズレた位置に発生したリングアーチファクト:

画像の中央にリングアーチファクトの中心がありません。

従来の手法による低減結果:

リングアーチファクトがまだある程度残っており、元画像の変形も確認できます。

TomoShopによる低減結果:

リングアーチファクトが十分に低減され、元画像の変形も見られません。

メタルアーチファクトの低滅・削除処理

金属製の物質を含むサンプルをX線CTスキャン後に画像再構成するとメタルアーチファクトと呼ばれるノイズが放射線上に出て観察の妨げとなります。

TomoShopは、メタル補正(ビームハードニング補正)でこのメタルアーチファクトを低滅・削除してより確実な形状を再現します。また高速処理で行いますので時間が節約できます。

補正前

補正後

補正前

補正後

補正前

補正後

補正前

補正後

☟ ビデオ:TomoShop®を使ったメタルアーチファクト(+リング等)の低減

☞ メタルアーチファクト

☞ TomoShop®のページ

カッピング効果(ビームハードニング現象)の低減・削除処理

ビームハードニングに起因するカッピング効果を低減・削除するのは非常に難しい問題です。

この問題はこれまで技術的に修正不可能で”常識”という事で無視されてきた問題でもあります。

カッピング効果(ビームハードニング現象)の問題点の例として、下記が上げられます。かなり重要な項目も含んでいるのでCTユーザー様は必ず知っておくべきです。

  • ビームハードニングが生じている領域は白く/白っぽくなっており、正確な形状の観察が不可能である。
  • 正確な3次元形状を把握することが不可能である。
  • 3次元計測等に問題が生じる。正確な測定数値が得られない。
  • その他

TomoShop®はこれを低減・削除する技術を導入する事に成功しました。これにより、CTデータから三次元測定等のリバースエンジニアリング工程に進むことが可能となります。

従来の手法(補正無)

TomoShopによる手法(補正有)

従来の手法(補正無)

TomoShopの手法(補正有)

従来の手法(補正無)

TomoShopの手法(補正有)

従来の手法(補正無)

TomoShopによる手法(補正有)

カッピング効果(ビームハードニング現象)補正無

補正無しの場合、先端部が白く光っており正確な形状、出ているはずの模様を認識することが不可能となっております。

従来の手法(補正無)

カッピング効果(ビームハードニング現象)補正有

TomoShop®のアーチファクト低減処理による補正後は、正確な形状、出ているはずの模様を認識することが可能となります。

TomoShopの手法(補正有)

☟ ビデオ:TomoShop®でカッピング効果の低減

☞ カッピング効果

☞ TomoShop®のページ 

 

CTスキャンによるビームハードニング(カッピング効果)の低減

X線CTは連続X線を使用します。連続X線は多数レベルのエネルギーを持つX線で構成されております。例えば、高エネルギーX線、中間エネルギーX線そして低エネルギーのX線があります。

連続X線☟

※高エネルギーX線(Strong)、中間エネルギーX線(Middle)、低エネルギーX線(Weak)

連続X線がサンプルを透過すると下記の図のようになります。

上図を見ると、高エネルギーX線(Strong)はサンプル(Sample)を真直ぐに透過していますが中間エネルギーX線(Middle)や低エネルギーX線(Weak)は散乱を起こして透過していません。この事から中間エネルギーX線(Middle)や低エネルギーX線(Weak)がビームハードニング(カッピング効果)を生じさせる原因を作っている事が解ります。よって、ビームハードニング(カッピング効果)を低減するには、中間エネルギーX線(Middle)や低エネルギーX線(Weak)を使わずに高エネルギーX線(Strong)を使えば可能である事が解ります。

さて、ではどのようにして高エネルギーX線(Strong)のみを使用する事が可能なのかですが、一つの方法としては、金属フィルター(金属製の板)をX線発生器とサンプル(Sample)の間に設置して高エネルギーX線(Strong)以外のエネルギーのX線を遮断する方法があります。

金属フィルター(Metal Filter)として使用する金属製の板は銅、アルミ、その他があります。

  • 銅 ☞ X線の遮断率(吸収率)が高い金属です。もし対象となるサンプルに金属等硬い材質が含まれている場合有効です。
  • アルミ ☞ X線の遮断率(吸収率)が低い金属です。もし対象となるサンプルに軟らかい材質、X線が透過しやすい材質が含まれている場合有効です。
  • その他 ☞ テストが必要

金属フィルターの厚み:

  • 銅 ☞ 約3mm(最大)
  • アルミ ☞ テストが必要
  • その他 ☞ テストが必要

X線源のパワーは(管電圧、管電流)は可能な限り最大にします。

※サンプルの中には、X線に対して弱い材質のものがありますので使用するX線のパワーはくれぐれも注意してください。使用するX線のパワーはサンプルの材質に依存します。

これらの事から、ビームハードニング(カッピング効果)の低減の方法は的確な金属フィルターの選定(厚み)と的確なX線源のパワーのコンビネーションを見つける事となります。

※謝辞:
このページで表示したボリュームデータは、 産業技術総合研究所の三澤雅樹先生及び株式会社緑野リサーチから頂きました。ここで、深い感謝の意を表します。