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アーチファクト(英語:Artifact)
CTスキャンは外から見る事ができない内部構造を、その物体を破壊する必要がなく観察できる非破壊検査の一つの方法です。
しかし、CTスキャンには問題があり、その問題の一つがアーチファクトという現象です。 アーチファクトは実際に存在しない形が二次元で写しだされた出された現象です。 またこのアーチファクトをそのままにして二次元のX線撮影データを3次元化するとその形状も三次元化されますので正確な観察に悪い影響を与えます。 アーチファクトはCTスキャン装置の構造や動作の性質、撮影条件、観察物の形状や密度そして材質、ビームハードニング、検出器の問題、被写体の動き、再構成法や再構成ソフトの品質等により様々な種類や強さがあります。
アーチファクトの代表的な種類として、下記のものがあります。
リングアーチファクト(英語:ring artifact)
リングアーチファクトはアーチファクトのパターンの一種で、リングの形状からそう呼ばれています。
原因としては、X線検出素子の感度補正が不十分でばらつきがある場合に発生します。特に弱いエネルギーのX線を使用する場合顕著に発生します。強いエネルギーのX線を使用できない材質のサンプルを扱う場合は注意をようします。
対策として、
撮影条件において、少し強めのエネルギーのX線を使用すると効果があります。また年輪等がもともとあるサンプルをCTスキャンする場合は、回転ステージ台の中心からずらした位置にサンプルを置いてCTスキャンをすればリングアーチファクトのと影と実際のサンプルの模様が容易に識別しやすくなるという効果があります。
CT画像再構成ソフトウェアのアルゴリズムでリングアーチファクトを低減する方法があります。この場合これが可能な優秀なCT画像再構成ソフトウェアを使用する必要があります。
弊社が提供するTomoShopは、リングアーチファクトを強力に低減します。
縦アーチファクト(英語:vertical artifact)
縦アーチファクトは、理論上ではリング・アーチファクトと同様の原因で発生します。縦アーチファクトが見られるケースはCT画像再構成が終了したスライス画像のZ方向の画像(XZ、YZ)に現れます。
X線検出素子の感度補正が不十分でばらつきがある場合に発生します。特に弱いエネルギーのX線を使用する場合顕著に発生します。強いエネルギーのX線を使用できない材質のサンプルを扱う場合は注意をようします。
対策として、
撮影条件において、少し強めのエネルギーのX線を使用すると効果があります。
CT画像再構成ソフトウェアのアルゴリズムで縦アーチファクトを低減・補正する方法があります。この場合これが可能な優秀なCT画像再構成ソフトウェアを使用する必要があります。
弊社が提供するTomoShopは、縦アーチファクトを強力に低減します。
メタルアーチファクト(英語:metal artivact)
メタルアーチファクト(金属アーチファクト)は、サンプルの材質に金属が含まれている場合発生するアーチファクトです。
原因は、金属等のX線を吸収率が高い物質はビームハードニングという現象が起こり発生します。X線が吸収され透過されない部位は形状の情報が写らなく影となり放射線状に散乱します。また、白く光ったような造影を発生させるので金属が含まれていない部位の造影にも影響が出てしまいます。
対策として、
CT画像再構成ソフトで画像再構成を行う際にビームハードニングを補正する必要があります。
撮影上での対策としては、管電圧を高くしてCTスキャンを行います、また銅、アルミ等のフィルターを用いてCTスキャンを行う方法もあります。
弊社が販売するCT画像再構成ソフトウェアであるTomoShopは、金属アーチファクト低減に優れた機能を搭載しております。
カッピング効果(ビームハードニング 英語:cupping artifact)
カッピング効果とは、ビームハードニング現象に起因して起こる現象です。水ファントムの様な本来均一なCT値を示す物体をスキャンした場合、外側より中心部のCT値が低下する現象です。X線CTスキャンの宿命と言われている厄介な問題です。
原因は、連続X線(連続の波長を持つX線)の線質硬化により起こるビームハードニング現象とX線の持つ特性である多色性が上げられます。
カッピング効果(ビームハードニング)現象が起こす問題としては下記が上げられます。
- 白くなっている部位の形状/巣/異物の詳細な観察が不可能。また暗い影部位も同様に観察の不確実性という問題を起こす。
- スライス画像再構成後の形状に問題が起こる。
- スライス画像形状の不確実性の問題から3次元解析・計測等に問題が生じる。正確な測定値が得られない。
- その他
TomoShop®はカッピング効果を低減した画像再構成を実現しております。
Axial Intensity Drop
モーション・アーチファクト(英語:motion artifact)
モーション・アーチファクトは、
- ステージの回転軌道誤差(水平方向、縦方向、カメラの取付)の補正が十分でない。
- ステージの回転軌道の機械的な正確度・調整が十分でない。
- CT撮影時に起こるサンプルの予期せぬ移動がある。
- CT撮影時に起こる予期せぬ振動(水平方向、縦方向)がランダム的に起こる。
等の理由により起こります。
特に「4. CT撮影時に起こる予期せぬ振動(水平方向、縦方向)がランダム的に起こる。」はCTユーザー様を悩ませている問題です。
☞ TomoShop®による解決策はコチラをクリックしてご参照ください。
ストリーク状アーチファクト(英語:streak artifact)
ストリーク状アーチファクトとは、ヤスリ状の線が入る事からヤスリ状ストリークアーチファクトとも呼ばれております。情報収集量の不足により発生した画像雑音(ノイズ)が一定の方向に揃って出たものとが考えられます。
ストリーク状アーチファクトが起こるケースで考えられるのが照射線量が低い場合によく起こります。 この場合は照射量を高くする事が対策となります。
違う理由として、検出器の故障・不慮が原因で起こる場合もあります。その故障により種集された画像データにおいて幾つかの画像データの収集不慮が起こりストリーク状アーチファクトが発生します。 この場合検出器・DASの点検・修理そして交換が必要となります。
また、CTスキャン画像の枚数が著しく少ない場合も再構成後の画像にストリーク状アーチファクトが発生します。 この場合の対策はCTスキャンの撮影枚数を増やす事です。(スライス厚を低くする)
画像ソフトにてノイズ低減機能等を使用してストリーク状アーチファクトを低減・補正する対策もあります。 しかしこの場合やりすぎると画質全体にボケ等の障害が出てきますので注意しながら行います。
弊社が紹介するCT再構成ソフトであるTomoShop®はこれらの様々なアーチファクトに関する問題をより簡単に解決できるように開発され、これからも引き続き開発は続いていきます。